≫ 法律に関する情報

  このコーナーでは、身近な法律についての知識を深めていただくため、
  月1回を目処に法律や制度についての概要をご説明していきます。


 今月から11月までは所謂借金に関する対処方法をテーマとする予定ですが、皆様からのご希望をも参考にして今後のテーマを定めていきますので、扱ってほしいテーマ、知りたい法律などございましたら、 掲示板 又はメールでお知らせください。

 みなさんは、他人からお金を借りたことがあるでしょうか。直接人(あるいはいわゆるサラ金会社等)からお金を借りなくても、家や自動車を買ってローンを組んだり、家賃の支払を滞納したり、誰かの借金の保証人になるなど、誰かにお金を支払わなければならない義務を「(金銭)債務」といいます(この場合の「誰か」のように、お金の支払を求める権利を「(金銭)債権」といいます。)。

 ちなみに、債務を負っている人を債務者、債権を持っている人を債権者といいます。このような債務をきちんと弁済できているうちはよいのですが、自分の収入以上に債務を負担してしまい返済が不可能な状態にまで至ってしまった場合についての主な対処方法について今回は説明します。

 一般に、このような場合の対処方法として、@債務整理(任意整理)、A特定調停、B自己破産、C民事再生 が考えられます。


 @債務整理
 債務整理とは、弁護士が債権者と個別に交渉して債務者が返済可能になるように返済計画を立て直すことをいいます。このとき、これまでの返済内容から、債権者が法律で定められた以上の利息を取っていたような場合には、超過した分を元本に充当し、実質的に債務額が減額することもあります。詳しくは、弁護士にご相談ください。

 この方法の長所は、他の方法より迅速になしうること、裁判所の費用がかからないこと、債務者や債権者に応じて返済計画を変えられることが挙げられます。

 これに対し、短所は、債権者との個別の交渉になるため、債権者が協力しない場合には成立しないことが挙げられます。


 A特定調停
 特定調停とは、「特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律」に基づく制度で、裁判所における調停の場で返済方法等について債権者と調整し合うものです。

 この方法の長所は、当事者に債権の発生原因・内容等に関する事実を明らかにする責務があるとされていること、民事執行手続を停止できる範囲が通常の場合に比べて広く認められていること、複数の債権者に対する事件を一括して処理しやすいように配慮されていることなどが挙げられます。

 これに対する短所は、あくまで調停であるため、合意がなければ成立しないことが挙げられます。


 B自己破産
 破産には、債権者から申し立てる場合などもありますが、その中でも債務者から申し立てる破産をとくに自己破産といいます。今回は、自己破産の中でも、債権者にとくに分配すべき財産のない個人債務者が申し立てた場合(同時廃止)を念頭において説明します。

(1) 自己破産のメリット・デメリット
 自己破産の長所は、債務の弁済から解放される(免責決定)ことに尽きるといってよいでしょう。

 短所としては、選挙権が停止されるとか、戸籍に記載されるなど心配する方がよくいらっしゃいますが、これは誤りであって、破産によってこのようなことはありません。破産することによって権利・資格が制限される職種はありますが、これらも復権という手続きを経れば解消されますので、多くの方が考えているほど法律上のデメリットはないのです。

(2) 破産の申立て
 破産の申立ては直接自分で裁判所に申し立てることもできますが、集めなければならない書類が多く、記載して提出する書類も複雑なため、弁護士に依頼するケースが多いようです。

 弁護士が受任すると、債権者に受任通知を発し、以後弁護士が債権者に対する窓口になりますので、債務者への催促の電話などは制限されます。他方で、弁護士と依頼者の打ち合わせによって弁護士が申立てに必要な書類を作成し、提出に必要な書類を依頼者に用意してもらって、準備が整ったところで申立てをします。

(3) 破産決定
 破産の申立てをすると、裁判官との破産審尋期日が定められます。ここで、裁判官から債務や財産等について質問をされることになります。

 その後、個人の自己破産の場合には債務を一般的・継続的に弁済することができなくなったと認められるとき(支払不能状態)、破産決定が出されます。具体的には、1ヶ月あたり返済に充てることができる金額で債務全額を分割して返済する計画を立てた場合に、3年かかっても返済できないと思われるときには支払不能状態にあると見てよいでしょう。

 不動産など高額な財産がある場合には、これらを処分して債権者に分配した上破産決定が得られることもあり、同時廃止の場合よりも期間・費用が異なりますので詳しくは弁護士にご相談ください。

 横浜地方裁判所(本庁)の場合、裁判所に破産の申立てをしてから約2週間から1ヵ月後に破産審尋期日が定められ、とくに問題がなければ同日中には破産決定が出されます。他県の裁判所や神奈川県内でも支部によって期間は異なりますので、詳しくは裁判所や弁護士へお問い合わせください。

(4) 免責決定
 破産決定が得られると、免責の手続きへ移行し、免責審尋期日が定められます。この期日は債権者にも通知されますので、不服のある債権者が裁判所へ来ることもあります。また、免責審尋期日から1ヶ月以上の間、不服のある債権者は異議を申し立てることができることになっていますので、この間待つことになります。

 この期間経過後、嘘をついてお金を借りたり、過去10年以内に免責決定を得ていた等免責の不許可事由に該当して免責を認めることが妥当でないと判断されなければ、免責決定が出されます。免責は債権者に対する責任を免除してもらうものですから、より慎重に判断されるのです。

 横浜地方裁判所(本庁)では、破産決定から約2ヵ月後に免責審尋期日が定められ、それから1ヶ月以上おいて免責決定が出ることになります。


 このように、@もAも結局は債権者の協力を必要とするので、これが得られない場合にはB自己破産が考えられます。
 次回はC民事再生についてご説明いたします。


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