桜木町法律事務所

業務内容

借地・借家

土地や建物は、借主にとって大切な生活の場です。
きちんと賃料を支払っているのに立ち退き請求されたら困りますね。
家賃や地代の増額の通知が来たらそれに従わないといけないのでしょうか。
こんな場合には、まずご相談下さい。

賃料不払いによる建物明渡しまでの手続き

貸主にとって土地や建物は大切な財産です。貸家の賃料を滞納されてしまったら、貸主側に大きな負担を強いられることになりますね。
借地人や借家人が地代や家賃を不払いにしている事例では、判例上、おおむね約3か月の家賃を滞納し、催告したにもかかわらず不払いの場合には解除、明渡しが認められています(それまでの家賃の支払状況や解除後の支払い状況によっても変わります)。
賃料不払いの場合の借家の明渡しは、通常、以下のような流れとなっています。

不動産明渡しの解決まで

大家さんや地主さんから借家や借地の明渡しを求められた場合

大家さんや地主さんから、「マンションに建替えるので」などの理由で借家や借地の明渡しを求められる事件では、借家権の価格や借地権の価格をもとに相手方に明渡料を請求していくことになります。

借地権の価格 土地を借りて建物を所有している方は、建物建築費用など多額の資金を投入していますし、住居であれ、店舗であれ生活の基盤となっています。従って、建物所有目的で土地を賃借されている場合には、借地権として財産価値があります。
住宅地では更地時価の6割、商業地では更地時価の7~8割が借地権の価格です。
(すなわち、地主さんの権利は住宅地で4割ということですから、地主さんの権利(底地権といいます)を上回る権利をもっているということです。)
借家権の価格 都会で戸建住宅に5年以上住んでいた場合やマンションでも長期間住んでいて代替性がない場合には借家権が発生します。借家権の価格は、通常、借地権価格の20~30%(すなわち住宅地では更地時価の12~18%ということになります)です。
ビルを賃借して営業をしていた場合には、営業用造作の買取りや新規店舗確保に要する費用、移転のための休業補償、得意先損失補償などを請求できる場合があります。

地代・家賃の増減額請求をしたい場合

地代や家賃が、土地、建物の税金の増減や土地、建物の価格の上昇・低下などの経済情勢の変動、近隣地代、家賃との比較などにより、相当ではなくなったときは、地代や家賃の増減を賃貸人もしくは賃借人から、相手に対して請求することができます。
協議がととのわない場合には、調停の申立てをして、調停でも話し合いがつかない場合には、裁判所に決定してもらいます。

地代・家賃の増減額請求の手続きの流れ

地代、家賃の増減額請求事件では、訴訟の前に必ず調停を行うことが義務付けられています。

適正賃料について鑑定が行われる場合には、もう少し時間がかかります。

借地権付建物を譲渡したい場合

借地権付建物を第三者に譲渡しようとするときには地主の承諾が必要ですが、地主がどうしても承諾しない場合には裁判所の許可を得て譲渡することが可能です(借地非訟事件の申立て)。この場合、譲渡価格の10%程度を地主に承諾料として支払うことになります。
また、この手続きの中で、地主からの借地権の買取りについての提案や交渉が行われる場合もあります。

建替承諾・借地契約の条件変更をしたい場合

建物所有目的の借地契約においては,契約上,「建物の増改築の際には地主の承諾を要する」とされている場合が多くあります。この際,地主が増改築を承諾しない場合には,裁判所の許可によって増改築をすることも可能です(借地非訟事件の申立て)。
また、建物の建替えに伴い、普通の建物所有から堅固な建物所有に借地契約の条件が変更になる場合があります。この場合、借地契約の条件を求める裁判(借地非訟事件の申立て)をします。

弁護士費用

●賃料不払いによる建物明渡し

当事務所では、弁護士費用倒れにならないように、賃貸人の立場で借家の明渡しを求める事件では、保全・執行手続きを含め、賃料の6か月分を目安にしています(但し、最低50万円+消費税となります)。保全・執行に必要な実費は別途かかります。

●借地や借家の明渡しを求められる事件

借地権の価格や借家権の価格をもとに明渡しの条件として相手方(賃貸人)に請求する金額によって計算します。但し、着手金のお支払いについては分割払いや明渡料を受け取ったときに報酬と一緒に後払いするなどご相談に応じます。

●地代・家賃の増減額請求をしたい場合

賃料の増減額を求める事件では、弁護士の着手金及び報酬の総額が借地事件ではおよそ増減額分の3年分(但し、最低40万円+消費税)、借家事件ではおよそ増減額の1年分(但し、最低20万円+消費税)を目安にして決めます。

●借地非訟事件 ~借地権付建物を譲渡したい場合~
着手金
(定額)
借地非訟事件の着手金は譲渡しようとする借地権付建物の価格にかかわらず40万円+消費税。
報酬 譲渡価格の5~8%程度
●借地非訟事件 ~建替承諾・借地契約の条件変更したい場合~
着手金
(定額)
40万円+消費税
報酬 建替えの許可が認められた場合に、借地権価格の5%程度

借地・借家に関するよくあるご相談

アパート経営をしています。先日25歳の会社員の男性が1人で入居するという約定で、その若い男性と賃貸借契約を締結しました。ところが、実際には、高齢の男性が1人で入居しています。この高齢の男性は、明らかに契約者の若い男性とは違うのですが、こういった場合、契約は有効なのでしょうか?
契約自体は有効となるのが原則です。ただし、本件の賃貸借契約では「契約者となっている若い男性が1人で入居する」ことが約定されていますから、高齢の男性が1人で入居している状態は契約違反となります。誰が居住するか、ということは契約の中でも重要な要素になると考えられますから、賃貸借契約で転貸借を認めていない場合には、背信的行為があるとして債務不履行を理由として賃貸借契約を解除することができます。
賃借人と連絡が取れず、賃借人に貸している部屋には見知らぬ男性が住みついています。名前すら分からないのですがどうしたらいいですか?
転貸借が認められない場合、この賃借人に対して賃貸借契約を解除できるのはQ1と同様です。しかし、この部屋から出て行かない、名前すら分からない男性に対して明渡しを求めるためには、次のような手続きが必要になります。
(1)まず、今現在この部屋に住みついている人物が、他の者をこの部屋にさらに住みつかせないように、債務者を特定しない占有移転禁止の仮処分命令を裁判所に申し立てます。その際、執行官に対して仮処分命令の執行の申立てをすると、執行官が現場に赴いて、仮処分命令の執行をし、その者の名前を確認します。
(2)これで、その部屋に住みついている男性の名前が分かりますので、この男性を被告として、裁判所に対して、建物明渡し請求の訴訟を提起します。仮処分命令の執行が行われて以降にこの部屋に住みついた者に対しては、訴訟の被告に入っていなくても訴訟の判決の効力が及びますので、誰がこの部屋に住みついていても、強制執行で明渡しを求めることができます。
相続や離婚の理由により、これまで家族数人で住んでいたマンションに、賃貸借契約以外の家族が引き続き居住する場合は、更新料や契約の書換えが必要でしょうか?
相続と離婚の場合によって分けて考えることにします。
(1)相続の場合、被相続人が死亡して、遺された家族(相続人)が引き続きマンションに居住し続けることも多いと思われます。相続の場合には、相続人は被相続人の有していた賃貸借契約上の借主の地位を、法律上自動的に承継しますので、更新料や契約の書換えがなくとも、これまでの契約をそのまま引き継いでマンションを賃借することができます。ただし、被相続人の有していた賃貸借契約上の借主の地位は、すべての相続人が相続することになりますので、遺産分割協議によって、誰が借主の地位を受け継ぐのかを、相続人間で決めて、貸主に通知することが必要になります。
(2)離婚で、仮に夫が賃貸借契約上の借主であったにもかかわらず、夫だけがそのマンションを出て、残された妻と子がその賃貸マンションに居住する場合、夫の賃貸借契約上の借主の地位は妻などには承継されません。そのため、そのマンションに妻と子のみが居住し続けることは、賃借権の譲渡や転貸借にあたるとみられ、貸主の承諾が必要になる場合があります。そのように判断された場合にも、妻と子がその建物に居住し続けることが背信的行為にあたらない場合には、貸主の承諾は不要であって、更新料や契約の書換えも不要とされる場合が多いようです。
賃借人が死亡して、賃料の未払が続いています。賃貸借契約を解除したいのですが、誰に対して通知をしたらいいでしょうか?
Q3のとおり、賃借人が死亡した場合には、賃借人の相続人が賃貸借契約の借主の地位を承継します。このとき、すべての相続人が借主の地位を承継しますので、解除の通知も、戸籍等を調査して、すべての相続人に送付する必要があります。ただし、Q3のとおり、賃借人の相続人から遺産分割協議の結果として賃借人の地位を承継する相続人が1人に定まったことの通知があった場合には、遺産分割協議書を確認させてもらったうえで、その相続人1人だけに通知すれば足ります。
賃借人が破産しました。賃貸借契約書にもそのような記載がしてあるのですが、契約を解除することは出来るのでしょうか?
賃貸借契約書に解除条項が約定されているとしても、裁判上、すぐに解除が認めらないものがあります。破産についてもこれがあてはまり、破産をしたという事実だけでは解除は認められないと考えていただいて間違いありません。破産者は、破産後も賃料を払うことは認められているため、現実に賃料が払われている限りは解除ができず、賃料の滞納が3か月程度になってきた時点で解除することが多いと思われます。
アパートの大家さんに賃料を支払っていたところ、ずっと以前にアパートの持ち主が変わっているから、新持主に過去の賃料を支払えと要求されました。これには応じなければならないのでしょうか?
不動産の所有権が譲渡された場合には、旧持主と新持主との間の合意だけで、賃貸借契約の貸主の地位が、新持主に移転します。その場合、貸主は新持主になるので、賃料は新持主に支払わなければならないのが原則です(ただし、新持主が不動産の登記を取得していることが必要です)。しかし、借主としては、不動産の所有権が譲渡されたことなどはなかなか知りようがありません。その場合には、旧持主に間違えて支払ってしまうことも十分に考えられます。新持主からも旧持主からも、貸主が変わったことの通知がなかった場合など、貸主が変わったことを借主が知らなかったことにもっともな理由がある場合には、準占有者に対する弁済として、旧持主に支払った賃料が有効となり、新持主に改めて賃料を支払う必要はありません。
アパートの借主が、家賃を3か月滞納し、アパートと一緒に貸していた駐車場に自動車を置いたまま夜逃げしてしまいました。どうすれば、このアパートと駐車場を新しい入居者に貸すことができますか?
借主とまったく音信が取れないとすると、以下の手続きをする必要があります。借主がいなくなったからといって、勝手にアパートの中に入ったり、駐車場の自動車を廃棄することは認められていません。
(1)まず、裁判所に対して、借主にアパートと駐車場の明渡しを求める訴訟を提起する必要があります。この際、借主が行方不明になっていますので、借主に訴状を送達することが困難です。貸主が借主の現住所を見つけてくることができない場合には、送達したと見なされる公示送達の方法が認められる場合もあります。借主が行方不明になっているということであれば、裁判自体は大家さんの主張が認められ、明渡しを命じる判決が出されることになります。
(2)次に、判決に基づいて強制執行をしていきます。このとき、建物明渡しの強制執行、駐車場明渡しの強制執行とともに、建物内にある家具等の動産に対する強制執行、自動車に対する強制執行を行って、建物内の動産や自動車を処分することになります。
(3)以上の手続きを経て、建物と駐車場から動産や自動車がなくなりますので、新しい入居者に貸すことができます。
地主さんと30年の借地契約を締結しており、もうすぐ期間が満了します。地主さんから借地契約を更新しないといわれてしまったのですが、出て行かなければならないのでしょうか?
借地借家法においては、事業用定期借地権(同法23条)以外では、建物が存続している場合には借地契約は更新されることが決められています(同法4条・5条。旧借地法でも同様の規定があります)。一方で、貸主が土地を必要とする事情や、借地の利用状況、立ち退き料の金額などを総合的に判断して、更新することが適切でないと判断された場合には、更新しないことが認められる場合があります。どのような場合に更新しないことが認められるかについては、個別の事案によっても異なりますので、早めに弁護士などに相談されることをお勧めします。
地主さんと借地契約を締結しております。借地上にある自宅を建て替えたいのですが、地主さんが承諾してくれません。家を建て替えることは出来ないのでしょうか?
平成4年7月31日までに開始した賃貸借契約であるか(旧借地法が適用)、平成4年8月1日以降に開始した賃貸借契約であるか(借地借家法が適用されます)によって異なります。また、いずれの法律が適用されるかについては、最も初めに賃貸借契約が締結された時期によって判断され、更新の時期は問いません。
(1)旧借地法の場合・・・(ア)非堅固建物(木造)から非堅固建物への建替えや堅固建物(ビル等)から堅固建物への建替えについては、賃貸借契約に建替えを制限する条項がなければ自由にでき、建替えを制限する条項があれば地主の承諾が必要です。(イ)非堅固建物から堅固建物への建替えについては、地主の承諾が必要です。
(2)借地借家法の場合・・・(ア)賃貸借契約に建替えを制限する条項がない場合には、借地権の存続期間が満了する前に存続期間を超えて存続する建物を建替えによって建てる場合には地主の承諾が必要です。(イ)建替えを制限する条項があれば地主の承諾が必要です。
(3)これらの承諾が必要な場合に、承諾をしてくれない地主に対しては、借地非訟手続きによって、建替えの許可を裁判所からもらうことができます。その際に、承諾料の支払いが必要となります。
貸している土地の近くに駅ができ、付近の土地の価格が高騰したため、地代の値上げを検討しています。地代の値上げはできますか?
裁判所の基準では、一般に、固定資産税の2.5倍~3倍程度を年額の地代としています。その額よりも大幅に低い額のままとなっている場合には、借主に対し、地代の値上げを請求できます。借主が応じない場合には、借地非訟手続によって、裁判所で地代の増額を認めてもらうことになります。

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